サブマリーナが“海”、エクスプローラーが“陸”の腕時計であるのに対して、“空”の腕時計として1954年に誕生したのがGMTマスターです。
その優れた機能性と、斬新なアイデアから生み出された遊び心のあるデザインが今もなおファンを魅了し続けています。
当記事ではそんな歴史的な実用機能時計「GMTマスター」の歴代モデルを紹介させていただきます。
※当記事は専門書や時計店、愛好家の方から得た情報をもとに執筆しております。なるべく正しい情報を掲載できるよう最善の注意を払って執筆しておりますが、一部の情報は真偽性について未検証(検証不可)の場合がございます。(特に古いモデルは複数の説(製造年や仕様等)が存在するため事実と異なる場合がございます。)そのため、情報がすべて正しいといった保証はできかねる点をご了承の上、読み進めていただければと思います。
早わかり年表
【年代】 | 【クリックでスクロールします】 | |
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1955↓ ↓ |
第1世代 | |
1960↓ ↓ |
第2世代 | |
1978↓ ↓ |
第3世代 |
Ref.6542 ~航空界からの要請で誕生~
引用元:VINTAGE WATCH – LIBERTAS:リベルタス ROLEX GMT-MASTER Ref-6542 Aftermarket BakeliteBezel
1950年代になって世界は大型ジェット旅客機の時代を迎え、国際線パイロット用の腕時計が求められるようになりました。
ロレックスは1945年にはすでにワールドタイムモデル(世界24地域のタイムゾーンを同時に表示)を発表していましたが、実際に時刻を読み取るには手間がかかり、ヒットするには至っていませんでした。
そうした中で、1953年にはパン・アメリカ航空がロレックスにパイロット腕時計の開発を依頼しました。(依頼内容は現地時間(ローカルタイム)と本国時間(ホームタイム)だけを表示する腕時計の開発)
こうして1954年に完成したのがRef.6542「初代GMTマスター」となります。
エクスプローラ―やサブマリーナで培った技術(自動巻きや回転ベゼル)を活かすことで開発費を大幅に抑えながらも、回転ベゼルを塗り分ける(昼夜の判別を容易にするため)といった斬新なアイデアで全く真新しいプロフェッショナルウォッチを開発したことは、まさにロレックスの偉業の一つと言えます。
この24時間表示を持つ2色の回転ベゼルとGMT針(副時針)を組み合わせて二つのタイムゾーンを表示する機構は、今日におけるGMTウォッチの基本スタイルとなっています。
Ref.6204の詳細情報
製造年/世代 | 1955~1959年頃 / 第1世代 |
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搭載キャリバー | 1036 1065 1066 |
ベゼルカラー | 青赤/黒 |
防水性能 | 50m |
ケース径 | 40mm |
ブレス(フラッシュフィット) | 6636(80) 7206(80) |
リューズ | 6mm-トゥインロック |
外装の仕様違いが存在する箇所 |
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その他の特徴 |
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※(→ )は後年に変更された場合を意味します。
Ref.6542/8 ~極少数の金無垢仕様~
引用元:The Watcher in the Rye ロレックス GMTマスターの歴史【誕生編】
Ref.6204がパン・アメリカ航空の公式ウォッチに採用されたことを受けて、ロレックスは見事なPR戦略を打ち立てました。
当時エリートの象徴であった国際線のパイロットを大々的に広告に使って「機長が愛用している」といったイメージ・ステイタス性をGMTマスターに与えたのです。
こうした戦略の中でセレブリティ向けに生まれたのが金無垢仕様のRef.6542/8とされています。
Ref.6542/8の詳細情報
製造年/世代 | 1955~1959年頃 / 第1世代 |
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搭載キャリバー | 1036 1065 1066 |
ベゼルカラー | 茶 |
防水性能 | 50m |
ケース径 | 40mm |
ブレス(フラッシュフィット) | 6636/8(65) 7206/8(65) |
リューズ | 6mm-トゥインロック |
外装の仕様違いが存在する箇所 |
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その他の特徴 |
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Ref.1675 ~1500系を搭載した第2世代の誕生~
引用元:VINTAGE WATCH – LIBERTAS:リベルタス ROLEX GMT-MASTER Ref-1675 Chapterring Underline Gilt/Gloss Dial
Ref.1675は外装面・性能面どちらも変更点が大きいモデルです。
外装面においては、リューズを衝撃から守るためにリューズガードを備え、回転ベゼルのインサートディスク(24時間表示の赤青のディスク)はアクリル製からアルミ製へ変更され、耐久性が大きく向上しました。
性能面においては、Cal.1565(後にCal.1575へ変更)が搭載されたことで、機械自体の耐久性や精度の安定性が大幅に向上しました。
1500系キャリバーは現代の自動巻ムーブメントの礎を築いた名器であり、現代キャリバーにも1500系キャリバーのノウハウが多く組み込まれています。
20年間の製造期間の中で細かな仕様変更があったモデル
Ref.1675は約20年間も製造されたロングセラーモデルだったため現存数は多いのですが、細かな仕様変更(文字盤、ベゼルインサート、ブレス等)が行われたため、レアモデルも複数存在しており、マニアの中でも人気が高いリファレンスとなっております。
特に製造初期のミラーダイアル(艶のある文字盤にゴールドレター)や、太字フォントのベゼルインサートがついている個体は人気が高くとても高額になっています。
Ref.1675のダイアルとベゼルインサートの種類についてはGMTマスターⅠ(Ref.1675)のダイアル(文字盤)とベゼルインサートの種類についてに詳しくまとめておりますので、是非参考にしていただければと思います。
Ref.1675の詳細情報
製造年/世代 | 1959~1980年頃 / 第2世代 |
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搭載キャリバー | 1565 1575 |
ベゼルカラー | 赤青 黒 |
防水性能 | 50m |
ケース径 | 40mm |
ブレス(フラッシュフィット) | 6636(80) 6251(55) 62510(555) 7206(80) 7836(280、380) 78360(580) |
リューズ | 5.3mm-トゥインロック |
外装の仕様違いが存在する箇所 |
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その他の特徴 |
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Ref.16750 ~クイックチェンジ機能が搭載され実用性が向上~
【私物画像-Ref.16750(後年のフチあり仕様)】
Ref.16750の初期の個体の外見はRef.1675とほとんど変わりませんでしたが、後年からはインデックスにメタルのフチ(枠)が取り付けられたことにより、現行モデルの雰囲気に大幅に近づきました。
また、機能面では大幅な進化を遂げました。ムーブメントが3000番台となり日付のクイックチェンジ機構が初搭載され、さらに防水性能が50mから100mに向上しました。
初のクイックチェンジ機構を備えた3000系キャリバーは不具合が多かった
ハイビート化(毎時2万8800振動)による精度向上と、初のクイックチェンジ機構搭載により操作性が高まりましたが、不具合が多かったためかわずか10年程度(1977年頃~1988年頃)しか製造されませんでした。
不具合の内容はカレンダーを送る歯車(早送り機構)の不具合、自動巻きローターの脱落(ローター芯の固定不具合)があったようです。
Ref.16750の詳細情報
製造年/世代 | 1978~1989年頃 / 第3世代 |
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搭載キャリバー | 3075 |
ベゼルカラー | 赤青 黒 |
防水性能 | 100m |
ケース径 | 40mm |
ブレス(フラッシュフィット) | 78360(580) 62510(555) |
リューズ | 5.3mm-トゥインロック |
外装の仕様違いが存在する箇所 |
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